映画の授業① シナリオ概論、塩田明彦

黒沢清他、青土社発行、初版。

本を読むのが遅い。特に教本系は途中で疲れて詰まる。忘れた頃に続きを読み始め、後には何も残らない事も多い。なので途中ゝゝで感想を書くことにした。

 

この人はシナリオを五つに分けている。テーマ、キャラ、構成、世界設定、世界認識。

テーマとは抽象的なものではない。具体的だが大雑把な設定と展開。シナリオのラフスケッチ、ずばり企画とも言っている。出来事を通じて物語は動く。その躍動のために脳が発する意思という感じ、と思う。

キャラクタの基本要素としてシド・フィールド著のシナリオ入門から引用している。劇的欲求、考え方、態度、変化。単純でいつかは卒業すべきものだが、シナリオを書き上げる上で非常に有用、チェックシートのように使う事もあると。内面、行動、限りない日常の要素からキャラは想像される。そのキャラクタ性は多面的で、人間的、そして想像される行動の逆をとらせると躍動感が出る。また、在り得なくともキャラに忠実であれば個性となる。

羅列された出来事の視点、情報の順番を入れ替えてやる事で面白くする事が出来る。また、キャラクタが出来事を引き寄せ、それらの関係性は薄いのがエピソード中心。主軸に沿って出来事が展開され、それぞれが関係しながらラストに向かって収束していくのがストーリー中心。

世界設定は物語の内のルールであり、これは破られてはならず、積み重ねていく事によってキャラクタや物語がイキイキとしてくる。

世界認識は現実、世界、それぞれの出来事への作家の認識そのものであると。これらは嘘をつくことが罷り通らない、作家自身、人格そのものであり、これが面白ければ物語も面白くなるという。